東京湾の釣り/月別ガイド

Theory — Worm Color

東京湾のワームカラー論 「水深 × 時間帯 × 魚種」で選ぶ実践マトリクス

ワームのカラー選びは「なんとなく釣れそうな色」で決めがちですが、水中での色の見え方は物理法則でかなりの部分が説明できます。 そこに東京湾という海の固有条件——浅い・濁る・常夜灯が多い——と、魚種ごとの生態を重ねると、選択はぐっとシンプルになります。

このページが目指すのは、色名の暗記ではなく「なぜその色なのか」を自分で再現できる考え方です。 数値と、出典のある記述には末尾の出典番号を付けてあります。どこまでが物理で、どこからが経験則かは 最後の節で線を引きました。

01

前提:深さより濁りが効く海

数値はすべて出典つき
内湾の平均水深
約 15m

観音崎と富津岬を結ぶ線より内側。湾奥には 20 m に満たない海域が広がる。[1][3]

外湾(浦賀水道以南)
50 → 700m

観音崎沖で約 50 m。湾口は一気に落ち、東京湾海底谷は 500 m 超、湾内最大水深は 700 m。[1][2]

赤潮の判定基準
透明度 1.5m 以下

東京都が赤潮と判定する条件のひとつ。この日の水中は、澄んだ海の何倍もの速さで光を失う。[5]

赤潮の発生日数
70–110日/年

例年 5〜9 月に頻発し、夏場は赤潮状態が定常化。令和 6 年度は 24 年ぶりに 110 日を超えた。[4]

カラー理論を語る前に、フィールドの性格を押さえておきます。東京湾は湾口が狭く、外海との海水交換が制限された閉鎖性の強い海域で、 多摩川・鶴見川・荒川・隅田川・江戸川・小櫃川といった河川が絶えず淡水と栄養を注ぎ込みます[1]。 その栄養が外へ抜けにくいので、内湾はよく肥え、同時に夏場は赤潮が定常化します[4]。

東京湾の内湾では、光を奪っている主犯は「水深」ではなく「濁り」である。

外洋の澄んだ青い水なら、水深 20 m でもまだ光は残ります。 しかし東京都が赤潮と判定する条件のひとつが「透明度がおおむね 1.5 m 以下」で[5]、 その状態が夏場は定常化している[4]——つまり湾奥では、水深 8 m のボトムがすでに外洋の 30 m 相当の光量環境ということが起こります。

ですからこのページで言う「水深」は、正確には「その場所の減光の総量(水深 × 濁度)」と読み替えてください。 魚探の水深計だけを見てカラーを決めると外します。

もうひとつ効くのが深さの落差です。内湾の平均水深は約 15 m しかないのに、湾の外に出ると東京湾海底谷が 500 m 以上に達します[1]。 浅くて濁る内湾と、深くて澄む湾口が、ひとつの湾に同居している。 エリアごとの水深と潮通しは期待値マップに出典つきでまとめてあります[19]。

02

水中で色が消える順番

物理のおさらい

水は光を波長ごとに違う速さで吸収します。波長の長い光(赤・オレンジ)は吸収されやすく、散乱されにくい。 波長の短い光(青・紫・紫外線)は吸収されにくく、散乱されやすい[7][8]。 この結果、水中では赤から順に色が失われ、青が残っていきます。 真っ赤なタオルでも、水深 3 m ほどで暗い茶色から黒っぽく見えるようになります[7]。

波長ごとの光が水中で失われていく深さ 澄んだ海を想定した模式図。赤はおよそ 3 から 5 メートル、オレンジは 10 メートル、黄は 20 メートル前後で失われ、緑は深くなるにつれ弱まり、青が最後まで残ることを、5 本の帯の濃さで示している。東京湾の内湾では濁りによってこれよりはるかに手前で進む。 0 m 5 10 20 30 m 赤 オレンジ 黄 緑 青 澄んだ海の目安。東京湾の内湾では、この横軸がずっと縮む

模式図です。帯の濃さは「その色がどれだけ残っているか」を表しています。 深さごとの色の変化は出典 [7] の記述に合わせました。

おおよその深度 消えている色 実際の見え方
〜 3 m ほぼ全色残る 陸上で見た色に近い
3 〜 10 m 赤が急速に脱色 赤 → 茶 → 黒っぽいシルエットへ[7]
10 〜 20 m オレンジ・黄も減衰 黄がくすんで緑寄りに。世界が青緑へ寄る[7]
20 m 〜 緑も落ちる 青が圧倒的に優勢。白は青白く見える[7]

澄んだ海を想定した目安です。東京湾の内湾では、後述のとおりこの目盛りが手前へ大きくずれます。

東京湾では「青が残る」とは限らない

ここが重要な補正点です。上の表は外洋の青い水の話です。 東京湾湾奥のように植物プランクトンや懸濁物が多い水では、水色そのものが緑〜黄褐色に寄ります。 東京都の赤潮の判定基準が「茶褐色、黄褐色、濃緑色(抹茶色)などの色を呈していること」である[5]のは、まさにその状態の記述です。

この水質では青も強く散乱・吸収されるため、比較的残りやすいのは黄〜緑域になります。 チャートリュース(黄緑)が濁った内湾で効くと言われるのは、感覚論だけでなくこの水中光環境と整合します。 逆に「深いから青」を東京湾湾奥にそのまま持ち込むと、理屈が合わなくなることがあります。

「赤は消える」=「赤はダメ」ではない

赤は数 m で色味を失いますが、なくなるのではなく黒っぽいシルエットとして残ります[7]。 これは「目立たない色」ではなく「輪郭で見せる色」です。 赤ラメが暗所や深場で機能するのは、光を反射してキラつくためではなく、ワーム内部にコントラストの核をつくるためだと考えると腑に落ちます。 アジングの世界で赤ラメがプランクトンの集合体を模したシルエット系のラメとして整理されているのも同じ理屈です[12]。

03

色名ではなく「4つの軸」で管理する

市販の色名は無数にある

市販ワームのカラー名は無数にありますが、実戦では次の 4 軸に分解すると管理できます。 メーカー側の分類も、クリア系/ラメ系/グロー系/マット(ソリッド)系/ケイムラ系の 5 グループに整理されており[11]、 ここで言う 4 軸はそれを「何で効かせているか」で括り直したものです。

軸 01
透過性クリア ⇔ ソリッド
  • クリア系— 光を透過し、その日の水色に自動的に馴染む。シルエットがぼやけ、警戒心を与えにくい。澄み潮・常夜灯下・プレッシャーの高い場所の基準色[15]
  • ソリッド系— 光を通さず輪郭がはっきり出る。黒・赤・茶・深緑など。月明かりの強い夜だけでなく、新月回りの暗い夜にも影が浮かび上がって効く[15]
  • 中間色— レッドグロー、グローみかん等。ほどほどの際立ち加減で魚が散りにくい。濁り時にクリアもソリッドも効かない場面の第三の選択肢[15]
軸 02
明度・コントラストパール/白 ⇔ ブラック

魚が最終的に判断しているのは「色」より背景との明暗差であることが多い、という考え方があります。

  • 背景が明るい(月夜・薄暮の水面越し)→ 黒・濃色でシルエットを立てる
  • 背景が暗い(闇夜・ボトム)→ 白・パール・グローで浮かび上がらせる

ソリッド色が新月回りにも当たるのは、暗い背景に対しても影の輪郭が立つからだと説明されています[15]。

軸 03
自発光グロー=蓄光

蓄光剤が太陽光・蛍光灯・LED の光を蓄えて自ら発光するタイプ。真っ暗闇で緑色に光り、水深を問わず集魚効果があるとされます[9]。

  • 強み— 完全な暗闇、激濁り、深場など「光がそもそも存在しない」状況で唯一機能する。散っている魚を集めたいときや、スレきった群れに喝を入れたいときに効く[10]
  • 弱み— 光量が十分ある場面では不自然になり、警戒される
  • 点発光(ドットグロー)— 全体ではなく点で光る。プランクトンや小魚の眼を思わせる光点になり、ライトゲームで支持が厚い[15]

蓄光は専用の UV ライトを当てるとヘッドライトより明らかに強く光り、持続時間も伸びます。

軸 04
蛍光ケイムラ=UV 励起/チャート=可視域蛍光

ケイムラは紫外線を受けている間だけ青白く発光するもので、蓄光であるグローとは原理がまったく違います[9]。

紫外線は波長が短いぶん可視光より深くまで透過するので、澄んだ海ではかなりの水深まで機能します[8]。 ただし紫外線が届かない深さ・完全な夜になればグローに切り替えるのがセオリーです。

⚠️ 東京湾湾奥は濁りが強く紫外線も減衰しやすいので、ケイムラの有効レンジは澄んだ外洋より浅いと見積もっておくのが安全です。 ケイムラは経年で劣化するため、たまに UV ライトで発光を確かめてください。

グロー(蓄光) ケイムラ(UV 蛍光)
発光原理 光を蓄えて放出する[9] 紫外線を受けている間だけ発光する[9]
発光色 黄緑系 青白い
暗闇での効果 ◎ 本領。水深を問わない[9] × 紫外線がなければ光らない
日中・マズメ △ 不自然になりがち ◎ マズメが最も効く時間帯[8]
深場 ◎ 紫外線が届く範囲まで[8]

補助軸:ラメ

ラメは、光(紫外線・外灯・月明かり)に反応してキラッと光る粒で[10]、上の 4 軸に乗せる「増幅装置」です。2 系統に分けられます[12]。

  • 反射系ラメ(ホログラム/金/銀)— 光を利用したフラッシングでアピールする。デイゲームとマズメが主戦場[12]
  • シルエット系ラメ(赤/緑/青/紫/黒)— 反射ではなく、ワーム内部の存在感・密度感の演出。グローボディに入れると発光時にラメが影になり、プランクトンの集合体を模す。常夜灯のないナイトゲームや月光下で使う[12]

とくに赤ラメはマズメの時間帯に強いと言われています。 日の出直前・日没直前は空が紅色になり、そのとき差す陽光と赤ラメが馴染むから、という説明です[12]。

04

時間帯別セオリー

光量が変数
時間 01
日中デイゲーム

光量が最も多く、魚がルアーを最も細かく見られる時間帯です。基本はナチュラル、反応がなければ段階的にアピールを上げる。

シーバスのデイでの定番ローテーションは、ナチュラル → ナチュラル+ラメ → チャート → チャート+ラメ → ピンク → ピンク+ラメ → グロー の順とされています[18]。

ケイムラが最も理にかなうのもこの時間帯(および曇天・日陰・濁り)です[8]。

時間 02
マズメ朝・夕

光量が急変し、ベイトの活性も上がる時間帯。ケイムラのゴールデンタイムで[8]、同時に「明るい系 → 暗い系」への移行を仕込むタイミングです。

夕マズメなら日没に向けてケイムラ → グローへ、朝マズメならその逆へ。 実務的には日没 20〜30 分前からグローを蓄光し始めると、切り替えでもたつきません。

赤ラメがこの時間帯に強いとされるのも、空が紅色に染まる短い時間と噛み合うためです[12]。

時間 03
ナイト常夜灯あり

東京湾の湾岸・運河部は常夜灯が非常に多く、ライトゲームの主戦場です。灯りの色でセレクトが変わります。

  • 白色・青白色 LED で光が強く水が澄む → クリア系。ラメ入りで微調整[14]
  • オレンジ色(ナトリウム灯)系 → オキアミ系・アンバー・オレンジが馴染む
  • 灯りの明暗境界(シェード)→ ソリッド系でシルエットを立てる

常夜灯周りの魚はスレていることが多いので、いきなりグローを撃つのではなくクリアから入るのが定石です[14]。 なお常夜灯は紫外線も出しているため、ケイムラが働く場でもあります[8]。

時間 04
ナイト常夜灯なし/真っ暗

ここで初めてグロー・点発光・チャートが主役になります[9]。さらに月齢を重ねると精度が上がります。

  • 月が明るい+澄み潮 → パールホワイト・ブラック(シルエット勝負)
  • 月が暗い+やや濁り → グロー・チャートリュース(自発光勝負)[14]
  • 常夜灯あり → クリア系+ラメ(反射を利用)

「グローの発光は嫌がるが、存在感は出したい」という中間の場面では、チャート・ピンクなど自然界にない蛍光色が刺さることがあります。

05

水深帯別セオリー

透明度で補正すること

繰り返しますが、透明度で補正してください。 透明度 2 m の湾奥なら、下の 1 段階下(より深い側)を参照するのが実戦的です。 エリアごとの実際の水深は期待値マップにあります[19]。

D—01
0 〜 3 m表層・シャロー(運河、河口、干潟、護岸際)
  • ほぼ全色が「色」として見える唯一のレンジ
  • ナチュラル系・クリア系が基準。色の正解がある数少ない領域なので、ベイトの色を意識する価値が高い
  • バチ抜け時は細身シルエット+クリア/レッド系
  • 濁ればチャート、澄めばクリアという単純な二分でまず通用する[14]
D—02
3 〜 10 m湾奥の一般的な釣り場
  • 赤が消え始め、色より明暗差が効き始める遷移帯[7]
  • 昼はケイムラ+ナチュラル、夜はクリア(常夜灯下)/グロー(暗所)
  • 東京湾湾奥ではこのレンジで実質「薄暗い」状況が成立するため、日中でもケイムラ・チャートが機能しやすい
D—03
10 〜 20 m湾奥ボトム、中ノ瀬周辺、船カサゴ・メバル
  • 色相の情報はほぼ失われ、シルエットと発光の勝負
  • グロー、チャート、パール、ブラックが中心
  • 赤・茶・パープルは「濃いシルエット」として機能する[7]
  • 根魚は薄暗い層にいるため、よく光るタイプが有利
D—04
20 m 〜外湾、浦賀水道、深場のタチウオ・青物
  • 自然光はほぼ期待できない。グローが基準[9]
  • ケイムラは紫外線の届く範囲内でのみ有効。深くなるほどグロー優位[8]
  • ワインド(ダート)系の釣りは「この釣法が成立する水深は 30 m 前後まで」とされ、それ以深はジギングでのアプローチが現実的[16]
06

魚種別セオリー

東京湾の主要ターゲット
魚 01
シーバススズキ

湾奥のオールシーズンターゲット。夜間の橋脚周り・常夜灯下が王道です。

  • デイ— ナチュラル → チャート → ピンク → グローの順にアピールを上げる[18]
  • ナイト— ブラック/クリア/グロー/ホロの 4 系統を状況で切る。追うのに食わない場面ではクリアイワシ系のようなナチュラル方向へ落とす
  • バチ抜け(冬〜春)— カラーよりシルエットとスピードが優先。細身・スロー
  • ボトム・濁り・反応薄が重なる夜— ピンクグローのような強めの一手
魚 02
アジカラーローテの効果が最も明確に出る

系統はクリア < ケイムラ(UV)< グローの順にアピールが強くなると整理できます[14]。 まず 3 系統でローテし、反応の出た系統の中で細かく振っていくのが効率的です。

  • 常夜灯下・澄み潮 → クリア+ラメ(光が強いならクリア、澄み潮ならクリア)[14]
  • 濁り・暗所・深場 → グロー(光が弱いならグロー、濁っているならグロー)[14]
  • 高活性・ややササ濁り → ピンク/オレンジ
  • 締めにパール系を試すと、堰を切ったように出ることがある[14]

⚠️ フグやサバに邪魔されるときは、グローやラメ量の多いカラーを避けて控えめな色調に落とすとかわせる場合があります[14]。

魚 03
メバルクリア系の設定が非常に多い
  • パイロットはクリア系。多光量・低光量のどちらにも使えて対応幅が広い[15]
  • 反応がなければ真逆に振る(クリア ⇄ ソリッド、ナチュラル ⇄ アピール)。当たれば正解、外れたら少しずつ寄せる
  • ソリッド系は明るい月夜だけでなく新月回りの暗い夜にも影が浮かび上がって当たる[15]
  • 点発光(ドットグロー)は支持が厚い[15]
  • オレンジ系常夜灯下ではオキアミ系
魚 04
カサゴ・ムラソイ根魚

メバルより薄暗い層・岩陰にいるため、グロー系の優先度が上がります。 活性が高ければ強く光らせ、釣り荒れた場所では光らせずナチュラルに、と蓄光の強弱でも調整できるのがグローの利点です。

東京湾では本牧沖などで半夜のカサゴ・メバル船が多数出ており、実践しやすい釣りです[19]。

魚 05
タチウオ発光カラーの効果が最も分かりやすい
  • 明るいうちはケイムラ[8]、暗くなったらグロー[9]
  • ワインドはアクションが強いので、ナチュラルよりアピール系(ピンクが万能)
  • サイズは夏〜初秋が 75〜90 mm、秋が 90〜100 mm、晩秋〜冬は 100 mm 以上。食い渋りは思い切ってサイズダウン[17]
  • ただし夜でもケイムラが勝つ日があるため、思い込みでの固定は禁物

⚠️ 東京湾のタチウオは夏〜秋も走水沖・観音崎沖の 40〜60 m で成立します(浅場だけではありません)[19]。 ワインドの成立限界は 30 m 前後なので[16]、このレンジはジギングの領域です。

魚 06
マゴチ・ヒラメフラットフィッシュ

砂地のボトムをジグヘッド+ワームでズル引くのが基本。 ボトム付近で存在感を出す必要があるため、ピンク/ピンクグロー/チャートが使いやすい系統です。

底質に合わせるなら、砂地はクリア系という考え方もあります[14]。

魚 07
青物・サワラ湾口寄りの回遊魚

外湾寄りの回遊魚。深場ではケイムラの届く範囲を意識しつつ、基本はフラッシング+明暗コントラストの設計で考えます。

反射系ラメがデイ・マズメの武器になるのは、まさにこのフラッシングの働きです[12]。

07

早見マトリクス

行=レンジ/列=時間帯
デイ(晴天) デイ(曇天・濁り) マズメ ナイト(常夜灯) ナイト(暗所)
表層 0〜3 m クリア/ナチュラル チャート/ケイムラ ケイムラ/ピンク クリア+ラメ ソリッド or グロー(月齢次第)
中層 3〜10 m ナチュラル+ラメ チャート/ケイムラ ケイムラ → グロー クリア/オキアミ系 グロー/点発光
深場 10〜20 m ケイムラ/チャート チャート/グロー グロー — グロー/パール/ブラック
外湾 20 m 〜 ケイムラ/グロー グロー グロー — グロー一択に近い

「レンジ」は水深そのものではなく水深 × 濁りの実効光量です(01 の節)。 常夜灯の欄が深場で — なのは、灯りが届く水深ではないからです。

08

実践ローテーションの組み立て方

4 つの原則
原則 1
まず「系統」を決め、次に「色」を決める

いきなり 10 色を試すのは非効率です。クリア/ケイムラ/グローの 3 系統でまず当たりを取り、 反応の出た系統の中で細かく振ります。この 3 系統はアピールの強弱として一直線に並ぶので、当たりの方向が分かります[14]。

原則 2
反応がないときは真逆へ、あるときは隣へ

反応ゼロならナチュラル ⇄ アピールへ大きく振る。反応があれば同系統内で微調整します。 メバリングで「クリアが効かなければソリッドへ」と真逆に振るのは、外れたときの情報量が大きいからです[15]。

原則 3
好調なときこそ次を試す

反応が良いときにカラーを変えるのは勇気が要りますが、そこでしか見つからない当たりカラーがあります。 1 色を長時間使い続けない、という考え方です。カラーローテの締めにパール系を必ず試して、堰を切ったように釣れ出す例が報告されています[14]。

原則 4
カラーを決めてからリグを詰める

一番反応の良い色が見つかったら、そこでワームサイズとジグヘッド重量を振ってリグ全体のバランスを最適化します。 順序を逆にすると変数が増えて収束しません。

最低限そろえる 5 色(東京湾ライトゲーム)

  • クリア(ラメ入り)— 基準色。メーカー側も「まずはこれから」と勧めるのがグローホロのようなクリア+ラメの組み合わせです[13]
  • グロー or 点発光— 暗所・濁り・深場[9]
  • ケイムラ— 日中・マズメ[8]
  • チャート(蛍光黄緑)— 濁った湾奥の主力
  • ピンク or パール— アピール/締めの一手[14]
09

東京湾ならではの注意点

水の側の事情

赤潮

東京都内湾では赤潮の発生が慢性化しており、例年 5 月から 9 月に頻繁に観測され、特に夏場は赤潮状態が定常化しています[4]。 年間の発生日数は 70〜110 日程度で推移し、令和 6 年度は 24 年ぶりに 110 日を超えました[4]。

赤潮時は水色が茶褐色・黄褐色・濃緑色に振れ、透明度はおおむね 1.5 m 以下まで落ちます[5]。 この状況ではナチュラル系は完全に埋没するので、チャート・グロー・パールなど発光と明度で押すのが現実的です。

青潮

海面が乳青色〜乳白色に変化する現象で、主に夏季から秋季にかけて、底層に生じた貧酸素水が表層に湧昇することによって起こります[6]。 青潮が発生するとカレイやスズキなどの魚類が酸素を求めて水面近くに上がってくることがあります[6]。

つまり魚のレンジが強制的に上がるため、カラー以前にレンジ設定を浅くする判断が先です。 ただし貧酸素で活性そのものが落ち、へい死が報告される規模になることもあるので[6]、期待しすぎは禁物です。

夜光虫

夜光虫が出ている夜は、グローの発光が環境に埋没するという見方と、逆に夜光虫を模したグロー・点発光が刺さるという見方の両方があります。 ⚠️ ここは出典で決着が付く領域ではないので、その日の水面の様子を見て判断するしかありません。

なお夜光虫(ヤコウチュウ)はクロロフィルを持たないため、東京都の赤潮判定でもクロロフィル濃度の基準が適用されない特例扱いになっています[5]。 「赤潮ではないが水は濁っている」状態が起こりうる、ということです。

河川流入と塩分躍層

東京湾には多摩川・鶴見川・荒川・隅田川・江戸川・小櫃川といった河川が流れ込み、その水が抜けにくい構造になっています[1]。 雨後は表層に濁った低塩分水が乗るため、表層と底層でまったく別の光環境になります。

レンジごとにカラーを変える発想が有効な場面です。1 本のロッドで上から下まで同じ色を通す理由はありません。

10

どこまでが科学で、どこからが経験則か

線を引いておく
層 01
確立された物理
  • 波長ごとの吸収の違い[7]
  • 赤から順に色が失われること[7]
  • 紫外線が可視光より深く届くこと[8]
  • グロー(蓄光)とケイムラ(UV 蛍光)の発光原理の違い[9]
層 02
生理学的に妥当
  • 魚が錐体細胞を持ち、種によって色覚のあり方が異なること
  • 紫外線が見える種があること[7]
  • 多くの場面で明暗コントラストが強く効いていること
層 03
経験則・釣り人の共有知

「この色がこの状況で釣れる」という個別のマッチング。 このページのローテーションの順序・常夜灯の色別の使い分け・魚種ごとの推奨は、ほぼここに属します。

否定されるべきものではなく、膨大な試行の蓄積です。ただし再現性を上げたいなら、層 01 と層 02 で説明できるかを自分で確かめるのが近道になります。

カラーは「正解を暗記するもの」ではなく、その日の光環境に対する仮説である。
仮説なら、外れたら捨てて次に行ける。

このページは公開情報と釣り人の共有知をもとに再構成したものです。 数値・傾向はいずれも目安であり、当日の状況が最優先です。 実際に東京湾で何がどう釣れたかは釣行記録に積み上げています。 ここに書いた想定と記録がずれたら、直すのは記録ではなくこのページの側です。

Baseline
東京湾 期待値マップ

エリア 10 区分の水深と潮通し、魚種ごとの月別の期待値。 「そのレンジに何がいるのか」が決まらないと、カラーの前提が立ちません。

地図を見る →
Log
釣行記録

いつ・どこで・何が釣れたか。潮回りと月齢、期待値マップとの照合まで残しています。

記録を見る →
—

出典

2026-08-23 参照
  1. 百科事典
    東京湾 — Wikipedia(狭義 922 km²/広義 1,320 km²・内湾の平均水深 約 15 m・湾内最大水深 700 m・閉鎖度指標 1.78・東京湾海底谷 500 m 以上・流入河川)
    ja.wikipedia.org/wiki/東京湾
  2. 博物館
    豊海おさかなミュージアム「東京湾の逆襲!」(面積 1,380 km²・内湾の平均水深 15 m・観音崎沖 50 m・湾口は 600 m に達する東京海底谷)
    museum.suisan-shinkou.or.jp/guide/tokyo-bay-revenge/
  3. メーカー
    DAIWA「NIPPONぐるり地形学 東京湾」(湾奥は水深 20 m に満たない・外湾は急激に深い・東京海底谷は 500 m を優に超える)
    www.daiwa.com/dyfc/manabu/geomorphology/tokyowan/
  4. 官公庁
    東京都環境局「東京都内湾 赤潮発生状況について」(例年 5〜9 月に頻発・夏場は定常化・年間 15〜20 回/70〜110 日・令和 6 年度は 24 年ぶりに 110 日超)
    www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/water/tokyo_bay/red_tide/red_tide
  5. 官公庁
    東京都環境局「赤潮とは?」(判定基準=茶褐色・黄褐色・濃緑色/透明度おおむね 1.5 m 以下/クロロフィル 50 mg/m³ 以上/ヤコウチュウはクロロフィル基準の対象外)
    www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/water/tokyo_bay/red_tide/about
  6. 官公庁
    東京都環境局「貧酸素水塊、青潮」(乳青色〜乳白色・夏季から秋季・貧酸素水の湧昇・カレイやスズキが酸素を求めて水面近くに上がる・へい死の報告)
    www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/water/tokyo_bay/deadzone/deadzone
  7. 技術解説
    「水中で見えやすい色・見えにくい色は?──魚の視覚と深度で変わる海の色の法則」(深度帯ごとの色の変化・真っ赤なものは 3 m ほどで暗い茶〜黒・魚の紫外線視覚)
    n-flexo.co.jp/blog/underwater-visible-colors/
  8. 釣りメディア
    TSURI HACK「釣れる魔術か!?『なぜケイムラが釣れるのか』その真相に迫る」(紫外線を可視光に変換して青白く発光・マズメが最も効く・深場・常夜灯は紫外線を出す)
    tsurihack.com/2230
  9. 釣りメディア
    TSURINEWS「今さら聞けない【グローとケイムラの違い】自ら発光するか反射するかが大きな違い」(蓄光と UV 蛍光の原理・グローは水深を問わない)
    tsurinews.jp/291925/
  10. 釣りメディア
    TSURINEWS「『ワーム』の色を深掘り 蓄光チャート・グロー・ケイムラ・ラメの違い」
    tsurinews.jp/180417/
  11. メーカー
    ClearBlue「CHOICE ワーム|カラーを選ぶ」(クリア系・ラメ系・グロー系・マット系・ケイムラ系の 5 分類)
    clearbluejp.com/choice/choice_worm
  12. メーカー
    ClearBlue「ラメを考える」(反射系ラメ=デイ・マズメのフラッシング/シルエット系ラメ=常夜灯の無いナイト・月光下、グローボディでは影になりプランクトンの集合体を模す/赤ラメはマズメに強い)
    clearbluejp.com/column/mu-12
  13. メーカー
    ClearBlue「初めに揃えるワームカラー」(最初の 1 本はグローホロ・潮色を選ばない)
    clearbluejp.com/column/tf-13
  14. 釣りメディア
    つり人社 web「アジングワームのカラーローテ術 グロー・UV・クリアの強弱と使い分け」(光が強いならクリア/弱いならグロー、澄み潮ならクリア/濁りならグロー、砂地はクリア系、締めにパール系、フグ・サバは控えめな色調で)
    web.tsuribito.co.jp/beginner/ajing-warmcolor
  15. メーカー
    DAIWA「メバルの釣り方と最新タックルを本気で解説してみた(りんたこ流)」(クリア系=透過性が高く多光量・低光量どちらにも/ソリッド系=シルエットがくっきり、新月回りにも効く/中間色=レッドグロー・グローみかん/点発光のドットグロー)
    www.daiwa.com/jp/column/gekka_rintako/d002
  16. 釣りメディア
    TSURINEWS「東京湾&駿河湾で大人気!船のタチウオ釣り【ジギング&ワインド解説】」(「この釣法が成立する水深は、30m 前後まで」・それ以深はジギング・ジグは「水深=重さ」)
    tsurinews.jp/14726/
  17. 釣りメディア
    ワインドワームのサイズ選択(夏〜初秋 75〜90 mm/秋 90〜100 mm/晩秋〜冬 100 mm 以上/食い渋りはサイズダウン)
    lurezukan.com/recommended-tachiuo-worm/
  18. 釣りメディア
    レジャーフィッシングガイド「カラーで差をつけろ!シーバスワームの選び方とおすすめ」(デイのローテ順=ナチュラル → ナチュラルラメ → チャート → チャートラメ → ピンク → ピンクラメ → グロー)
    www.e-leisure.jp/basics/detail/593/
  19. 本サイト
    東京湾 期待値マップ(エリア 10 区分の水深と潮通し、魚種ごとの月別の期待値。タチウオが夏〜秋も走水沖・観音崎沖の 40〜60 m で成立することは、浦賀のレンタルボート釣果 80 件の実測から)
    fishing.monitor-boy.com/map/

⚠️ このページの記述のうち、ローテーションの順序・常夜灯の色別の使い分け・魚種ごとの推奨カラーは、 物理や生理学から演繹したものではなく釣り人の共有知です(10 の節)。 出典番号が付いていない記述は、出典で裏を取れていないものです。